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「運も実力のうち」? それ、逆じゃない?

「運も実力のうち」とは、幸運をつかんだ際にしばしば使われる言葉だ。しかし、私はこれは考え方が逆なのではないかと思っている。
つまり、「実力がなければ運はつかめない」というのがホントのところだと思うのだ。

たとえば、車やバイクのレースで、トップの選手がクラッシュやリタイアすると、労せず繰り上がって優勝した選手にインタビュアーがこう問い掛けることがある。
「トップが消えてラッキーでしたね」
と。しかし、他に十数台走っている中で、トップが消えた時に2位に付けている実力があったからこそ、その選手は優勝できたのだ。いくらトップが消えても、その時に下位をウロウロしていたのでは優勝できない。

レースのようなケースは運をつかんだ瞬間が目に見えて判りやすいが、もしかしたらそこかしこに「実力がなければ運はつかめない」という実例は転がっているのではないか思う。

役者、モデル、ミュージシャン、デザイナー、漫画家……。いずれも魅力的な職業だが、残念ながら、こうした職業を目指した人の多くが挫折してしまうのが現実。そして、挫折した中の何人かは「チャンスに恵まれなかった」と言う。
しかし、本当にチャンスがなかったのか?
逆に、
「たまたま○○さんの目に止まってデビューできて、ラッキーでした」
という話を時々聞く。だが、単にラッキーなだけだろうか?
芸能プロダクションは常に有望な新人を探してスカウト活動をしているし、レコード会社もそれは同じ。デザイナーや漫画家だって、それぞれの分野で有能な人は常に募集中だ。つまり、常に門は開かれているわけで、田舎ならさておき、東京でプロを目指して活動していれば、全くチャンスが無いとは思えない。
その道の関係者が見た時、「こいつは使える」と思わせるだけの実力があるかどうかで、運をつかむか、逃すか、が違ってくるのではないだろうか。
多くの場合、 逃した人は、その瞬間チャンスがめぐってきていたことにすら気づけないだけのこと。

私は就職したことがないのでよく判らないが、きっと普通の仕事の世界でも同じようなことはそこかしこにあるのでは?
まぁチャンスはそうしょっちゅうあるわけではないだろうが、チャンスがめぐってきた時に実力がある者はその運をつかみ、実力が無い者は自分に運がめぐってきた瞬間があったことにすら気が付かないまま終わってしまう、そういうことだと私は思っている。

2006.03.28. たきざわ勝彦


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